これまでは、上肢の使い方、下肢の使い方、体幹部の使い方と部位ごとに重力を利用した動き方を見てきました。
しかし、人間の実際の動作は、手の指先から足の指先まで連動して動きます。
今回からは、上肢、下肢、体幹部が、どのように「連動」するのかを具体的に見ていきましょう。
4・連動性について・・・・
その1 体幹部(肩甲骨、胸腰椎移行部、骨盤)の連動性
「連動性」とはなんでしょうか?
この言葉も、パフォーマンスを向上させるのに重要な要素として知られています。
では、何がどう連動することを言っているのでしょうか?
ここまでお読みいただいた方は、もうお分かりだと思います。
そうです。重力を利用して「胸腰椎移行部」「肩甲骨」「骨盤」この3つが連携して動くことを「連動性」と言います。
重力を利用するとは、具体的には自重、四肢の重さ、遠心力、ダンベルなどの重量物、重心移動によって得られる地面からの反力、着地の衝撃などの力を受けて、身体の部位を可動させることを言います。
これまでは、上肢の使い方、下肢の使い方、体幹部の使い方と分けて説明してきましたが、これら3部位が単独で動くということは厳密に言えばあり得ず、互いに影響し合います。
それぞれの要が上肢=肩甲骨、下肢=骨盤、体幹部=胸腰椎移行部であり、3部位をスムーズに連動させることが、パフォーマンスを左右する最大のカギになります。
連動の身体構造的メカニズムは、立位姿勢の場合と全く同じです。
正しい姿勢とは、腕の重さを肩甲骨に伝え、肩甲骨が下がりながら背骨に寄ることで骨格の構造と周辺の筋肉の張力により胸腰椎移行部が伸展し、骨盤が前に倒れて軸が作られる状態を言います。(姿勢編参照)。
立位姿勢は、静止状態ですが、厳密には完全に止まっている訳ではないので「静的動作」と呼んでいます。実際の動きを伴う動作、「動的動作」においても仕組みは同じです。
自身にかかる重力(負荷、地面からの反力、衝撃)を利用して「テコの原理を使った肩甲骨」と「骨盤前傾、螺旋の動きを使った股関節」によって「胸腰椎移行部を中心にした体幹部の歯車」を回してあげればいいのです。
腕に掛かった負荷、あるいは腕自体の重量を肘で処理せずテコの原理を利用して肩甲骨に伝えます。肩甲骨が可動されることで、胸腰椎移行部が伸展されます。
腕に掛かった負荷を肩甲骨へ伝える。
脚に掛かる負荷、自重、着地の衝撃を膝で処理せず骨盤に伝えます。股関節の構造から骨盤が前傾しつつ股関節が螺旋の動きをします。
この骨盤前傾によって胸腰椎移行部が伸展されます。
脚に掛かった負荷を骨盤に伝える。
上と下から胸腰椎移行部が伸展(背中が反る)されることで体幹部の歯車が回ります。
さあ、一流アスリートが知らなければならない「連動性」とは、どういったものでしょう?
続きは有料noteをご覧ください
https://note.com/reflexer/n/n0e0e928b7e59
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