利重力身体操作法が考える「正しい姿勢」評価の基準とは?
利重力身体操作法の立位姿勢のポイント。
胸腰椎移行部、肩甲骨、骨盤の連動性を基に
①重力を利用する。 ②骨格で支える。 ③軸が作られる。
この3つが重要になります。この3つを踏まえ、
A・土踏まずのアーチの一番高い位置(くるぶしの前あたり)の直上に頭
頂部があること。
B・頭頂部と土踏まずのアーチの一番高い位置を線で結び、その線から胸
が前に出る割合とお尻が後ろに出る割合が同じくらいの位置関係にあ
るあること。
骨格など個人差があるので、何センチとか数値の基準は設けません。
これが見た目です。
最も大事なのは、胸腰椎移行部で支えられる感覚が あるかどうかです。
胸腰椎移行部とは、背骨の中の胸の部分である胸椎の11番目、12番目、腰椎の1番目を言います。
胸腰椎移行部で支える感覚を確認してみましょう。少し重めのダンベル(2~5kg)などを両手に持ってみましょう。
ダンベルの重さによって肩甲骨が背骨に寄って胸腰椎移行部の伸展を促します。
この時、ちょうど胸腰椎移行部に詰まるような圧迫感が感じられればOKです。
あとは全身の力を抜いて、この姿勢を維持できれば、「正しい姿勢がとれる」ということになります。
ここで大事なポイント、ダンベルの重さ、腕の重さを胸腰椎移行部の伸展を促すには肩の位置が重要になります。
写真のように肩が前にあると、首や肩に力が入ってしまい力を抜くことができません。この肩が後ろの位置に自然に楽にとれることが第一の関所になります。
これが、利重力身体操作法が考える「正しい立位姿勢」の見た目の基準です。
人間が動作を獲得していく過程では「感覚」が重要になります。ただし、感覚は主観的なものですから客観性に欠いてしまいます。確かに、客観的なデータは事実を現わしているものなので意味があるのですが、どんなに客観的なデータ、数値を出して動作を解析しようとしても、最終的には感覚に寄るところが大きいのが実情です。
アスリートのトレーニングをトレーナーが担当した際に理論的には正しいトレーニングを行っているのに、なぜかパフォーマンスが思うように上がらないといったことがあります。この場合、多くのケースで「正しい姿勢、動作の知識、感覚」が欠けているのです。
アスリートのパフォーマンス向上を目的としてトレーニングをする場合は、この「正しい姿勢、動作の知識、感覚」が必要不可欠になります。
※解剖学的視点による正しい姿勢とは?
②骨格で支える について疑問に思われるのではないでしょうか?「骨格で支えるって言うけど、具体的にどういうこと?」と、
ここからは解剖学的視点から正しい姿勢の機序を紐解いていきましょう。
ポイントは3つ
① 胸腰椎移行部 ②肩甲骨 ③骨盤
この3部位の「連動」が鍵。
中でも胸腰椎移行部は最も重要な部位と言っていいでしょう。
その1 胸腰椎移行部について
体幹部が大事・・・・
よく聞く言葉です。スポーツやトレーニングの世界では、体幹部の強さを求められます。故に、体幹トレーニングがあらゆるスポーツに取り入れられています。この体幹部の強さのカギを握る最大のポイントが「胸腰椎移行部」です。まず、背骨全体の構造を見ていきましょう。横から見た図です。
このように、32~34個の骨が重なって作られ、5つの部位に分けられています。この背骨、5つの部位が同じようには可動しません。また、身体を支えるだけの強さも全ての部位が持っているわけではありません。体幹部の動きの基軸となり、身体を支えるには、可動性と強さ、どちらの要素も持っていなければなりません。その条件を満たす部位はどこでしょう?
その部位こそ、「胸腰椎移行部」なのです!
次回、消去法で見ていきましょう。
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