利重力身体操作法 Utilizing Gravity Movement (U.G.M)とは?
<重力に抵抗しない、利用する身体の使い方>
ポイント
・負荷(重力)を受ける
・骨で支える
・筋肉の収縮力に頼らない
・体幹部の筋肉の張力で出力する
これら4項目を踏まえて人の動きを
1・「筋肉」の動きではなく、「骨」の動きを見る
2・筋肉の「収縮力」ではなく「張力」で考える。
結果、効率的な身体の使い方ができ、省エネで動くことができます。
日常生活の作業等が楽になり、健康、体力の保持増進、スポーツのパフォーマンスの向上などの効果が期待できます。いわゆる、一流アスリートと呼ばれるような人たちは、意識的にしても無意識的にしても、多かれ少なかれ、そのような身体の使い方ができています。
では、選ばれた人のみができる特殊なことなのか?・・・・いや、そうではなく,誰でも幼児期には、自然にそのような身体の使い方ができていたのです。
赤ん坊のころから3,4歳までは頭部、胴体に比べ腕、脚の筋量は非常に少ないと言われています。どうして、そんな非力な腕や脚で、起き上がり、立ち上がり動き回ることができるのか? それは、重力に抗っているのではなく、重力を利用しているからなのです。
自然に重力を利用した身体の使い方ができている時期にスポーツを始め、楽しんで取り組むことができれば、正しい姿勢、動作を失うことなくパフォーマンスを向上させ続けられます。3,4歳ぐらいの幼児期からスポーツを始めた一流アスリートが多く見受けられるのはそのためです。
ただ残念ながら、ほとんどの人は成長とともに失ってしまいがちです。見失わず成長し、スポーツに活かせる人が一流アスリートと呼ばれる人になっていきます。
なぜほとんどの人は失ってしまうのでしょうか?
生活環境、運動経験等々あります。根本的な原因はなんでしょうか。
原因としては、人間の長所である「身体を考えて動かすことができる」「四肢末端が器用」なのが挙げられます。
人は頭が良いので考えます。より上手に動くにはどうするか?より速く走るにはどうしたら良いか?
考えます。・・・・「地面を、強く蹴れば良いのでは?」「腕を大きく振れば良いのでは?」
そして器用すぎるが故、その通りに動かそうとします。足先で地面を強く蹴り、腕を大きく振ります。動かしやすい末端部分を使います。四肢末端の筋肉の収縮力に頼ってしまうと最も重要な体幹部が使えません。
このような身体の使い方を繰り返し、定着してしまうと四肢末端を使うことに慣れてしまい、いつの間にか体幹部が使えなくなってしまいます。人は目に見えるところを意識しやすいので、意識的に身体を使っていると視界に入る身体の前面、四肢末端を多用します。すると無意識に背中が丸くなり、姿勢が悪くなってしまいます。
この「姿勢」が人間本来の重力を利用した動きを持ち続けているか、失っているかの目安になります。一流アスリートでなくても、いわゆる「姿勢が良い人」と言われる方は、レベルの差はありますが、重力を利用した身体の使い方ができていると言えます。これは、スポーツに限らず、日常生活の動きにも同じことが言えます。
では、重力を利用した身体の使い方を失わない、
あるいは取り戻すにはどうしたら良いのでしょう?
次回に続きます。
よろしければ動画も見てください。
より理解しやすいと思います。
動画、利重力身体操作法の導入編
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