#13 筋肉の作用を張力で考える

例2 小胸筋(しょうきょうきん)

 

小胸筋

 


 前胸部の筋肉です。起始は、第2~5肋硬骨前端。肋骨の前面を沿うように走り、停止は、肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)になります。
 烏口突起は、鎖骨の真ん中より、やや外側の下、胸のあたりを押すと触れることができます。
 作用は肩甲骨を前に引く、呼吸の補助となります。筋肉の収縮をメインで考えれば、起始の方に停止が近づいてくるので、肋骨が動くのではなく、肩甲骨が前に引き寄せられます。

ここまでが基本。

 張力を引き出すためには?
 起始と停止が離れるように動けば良いわけですから肩甲骨が後ろに下がれば良いということになります。立位姿勢の場合、腕の重さによって肩甲骨は背骨と肋骨に寄りかかるように下がりながら後傾します。

 肩甲骨の可動によって小胸筋に張力が生じ、基本の筋肉の作用、「肩甲骨を前に引く」とは、真逆の作用をします。
それは、「肋骨の挙上」です。

 肋骨の前に付いている小胸筋が、肩甲骨が後ろに下がることによって、クレーンのように肋骨を引っ張り上げるのです。

 肋骨の間には肋間筋(ろっかんきん)という筋肉があって、肋骨同士をつないでいるので、一部が引っ張り上げられることによって、全肋骨が引き上げられます。

図の左側のように、肋骨は前が下がっています。

小胸筋の張力による肋骨の挙上

 

肋骨の付け根は、上方向に捻られます。

 


 このように肋骨の挙上により、胸椎が前方に押し込まれるように力が伝わります。前鋸筋と同様に肩甲骨の可動により、小胸筋の張力と肋骨の形状から、胸椎に力が伝えられます。

いかがでしょうか?


 腕の重さ(重力)によって、肩甲骨(骨)が動かされ、前鋸筋、小胸筋の張力によって胸椎を前方に押し出すように力が伝わる。一般的な筋肉を主体として考える運動の見方とは、全く違うということがお分かりいただけると思います。

 さて、ここで問題があります。
 胸椎を前に押し出すように力が伝わったとして、どうなるのか?
 胸椎達は、ラグビーのフォワード選手。スクラムを組むように胸郭を形成しているので動きません。

 


上部から胸椎を前に押し出そうとしますが、動きません。力が下部に伝わることで、ある一点が動きます。                  
 ココ!「ココ!」の部位。この場所こそが「胸腰椎移行部」なのです。

 頸椎を除いた脊柱の中で唯一の可動ポイントです。

 立位姿勢の場合、前鋸筋、小胸筋の張力によって肋骨が、挙上、外に開かれるように動かされることにより、胸椎に力が伝えられ、可動ポイントである「胸腰椎移行部」の伸展(鳩尾が突き出される動き)
を促します。

 以上が、胸腰椎移行部に力が伝わるメカニズムになります。もちろん、例として挙げた2つの筋肉だけではありません。他にも、上腕骨や鎖骨に付着している筋群も同じように作用します。

 上肢の複雑な構造は、重力を利用して腕の重さを骨格で支え、更に胸腰椎移行部に力を伝えて伸展可動を誘導するための構造なのです。
 あくまで静的動作の一つである立位姿勢で説明してきました。他の動的動作、歩く、走る、跳ぶ、投げる、打つ等の動きにおいても原理は同じです。

 いわば肩甲骨は人体の「トランスミッション」と言えます。
 手や腕にかかった負荷を力の方向、大きさを調整、可変させ主軸である胸腰椎移行部に伝え、主軸からの出力を末端に伝える役割を担っているのです。

 次回は、下肢。骨盤の構造を見ていきましょう。
 上肢だけでなく、下肢の構造においても、なぜこんな構造なのか?
 下肢の構造の謎を見ていきます。

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