もし、目指すべき一流アスリートの動きが理解出来れば、理想とする状態が明確になり、具体的な到達地点がはっきり見えてきます。到達地点が見え、道程がはっきりすれば、必要最低の時間で、精神的、肉体的負担も少なく、目標に最短距離で向かっていくことができます。
例えば、指導者が足腰を鍛える目的で走り込みの練習を子ども達にやらせる場合。
ただひたすら走り込んでいれば心肺機能が向上して脚が速くなるのでしょうか?足腰が強くなるのでしょうか?
一般常識的に言われていることや、本に書いてあったことを盲目的に信じているだけではないでしょうか?
あるいは、自身の経験から、「自分がそうだったから」でしょうか?
自身の経験が、他の子たちにも同じように効果として現れるでしょうか?
それを裏付ける知識や、理論はあるのか?
一流アスリートの身体の使い方を理解できれば、様々な練習方法がある中、一つ一つの練習方法の真意を理解することができます。ある練習法がどのような効果をもたらすか、なぜ子どもがうまくできないか、上達するにはその子に何が必要なのか、その方法も明確になります。
走り込み一つとっても、闇雲にひたすら走り込むのと一流アスリートの走り方を理解して走り込むのとでは、まったく質の異なる練習になります。
何が正解か分からない、あるいは運動の基本的な土台の部分が抜けた状態のままでひたすら走りこませることは、時間を無駄にするだけでなく精神的、肉体的に傷つけてしまい、ただ単にスポーツ、競技の世界から子ども達をふるいにかけるだけの行為になりかねないのです。結局残る子どもは元々能力の高い子たちだけになってしまいます。
登山で、山の頂上を目指すのに、頂上がどこにあるのか分からないのでは、迷子になります。目的地をしっかり把握していれば、最短距離のルートを導き出し、一人一人の子どもの能力に合った段階(ペース)を提示することが可能になります。
同じように理想とする一流アスリート達の身体の使い方の秘密が理解できれば、到達すべき頂きがはっきりと見えてきます。子ども達が迷子にならず、一歩ずつゆっくりでも目標に向かって近づいて行けます。努力が確実に目標に近づいているという実感を得る経験を積むことができるのです。
動きを理解することで無理な練習の必要がなくなり、子供の怪我も最低限に抑えられます。努力が実になる実感が得られ、ケガがなく身体が楽に良く動けば、競技を楽しむことができ、子ども達のモチベーションも上がります。
前向きに練習にも取り組むようになります。当然上手になります。試合で良い結果を出せます。更に楽しくなります。
結果として、一人一人のパフォーマンスが上がり選手層も厚くなり、チーム全体の成績も上がる。このような正のスパイラルに入ることができるのです。
「いやいや、そんな都合良くいかないでしょ!
だいたい、一流アスリートの動きなんか普通できる訳ないでしょ!」
確かに、そう思われても当然でしょう。
しかし可能なのです。「実は幼児期には誰でもできていた。」ことなのです。
どういうことなのか・・・続きます。
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