#31 競技にウェイトトレーニングは必要か否か。(結論)

 

 前回では、一般的な筋肉を肥大させることを目的としたウェイトトレーニングは競技には向いていない。とお話しました。

 では、ウェイトトレーニングは不要か?・・・・
 いえ、
 スポーツ、競技のパフォーマンスを上げるには、筋力、パワーは、やはり必要です。

 では、どうしたらいいのか?

 まず、第一に押えておきたいのが、競技動作そのものが筋肉を発達させる。ということです。


 正しい競技動作とは、これまで見てきた胸腰椎移行部を中心に筋肉群の張力を引き出すことによって出力し、体幹部と四肢の連動性で力を伝える動き、つまり姿勢、動作の原則に則って様々な競技動作を行うことが重要になります。

 


 例えば、野球のバッティングであれば、まず、動作の原則に従ったバッティングフォームを身に付けることを第一とします。


 基本的な動作ができるようになれば、今度はその精度を上げていきます。精度を上げていくと、動作のスピードが増し身体にかかる負荷が比例して増大していきます。
 踏み込んだ際の地面からの反力、バットが回ることによる遠心力が体幹部の筋肉群の張力を引き出し、その負荷によって筋肉が発達していきます。


 この過程によって、その競技動作に必要な部位に必要な量の筋肉が作られていくのです。


 これが基本的な考え方です。


 「やっぱりウェイトトレーニングはいらないってこと?」と思われそうですが、お待ちください。


 競技動作の反復によって筋力を発達させてパフォーマンスを上げるのが理想ではあるのですが、なかなか難しいのが実状です。

 そこで、補助的にウェイトトレーニングを採用することは効果的です。


 その際、忘れてはならないのがそのスポーツ、競技の動作に即した動き、姿勢でウェイトトレーニングを行うことが重要なポイントになります。
 競技動作、この場合、例えばバッティングであればスイングの全行程に負荷を掛けでスイングをする、ということでも良いのですが、そもそも、それが難しいことなのです。


 現実的には、スイングの全行程を分割して、強化すべきパートごとの動きに負荷をかけて反復するというのが一番実践しやすいでしょう。

 

 実際にウェイトトレーニングで競技パフォーマンスが向上する選手は、無意識に連動性を重視した競技動作に即した正しい姿勢、動作でトレーニングできた、ということなのです。


 逆に、ウェイトトレーニングのセオリー通り、単関節の可動で一つの筋肉を追い込むようトレーニングすると、筋肉が硬くなり動きが悪くなってしまい、連動性が失われ、競技パフォーマンスを下げてしまいます。


 皮肉な話ですが、まじめにウェイトトレーニングのやり方を守る選手が、パフォーマンスを下げてしまい、適当にというか、いい加減にトレーニングした方が競技の結果につながるという現象が起こります。


 元々、良い姿勢、動きができているプロ選手の間でもトレーニングの効果に差が出てしまうのは、このためです。

 ボディビルダーが行うトレーニングは、筋肉を大きくする方法としては間違っていません。筋肉を大きくして、恰好良い身体を作る目的であれば正しい方法です。


 しかし、競技パフォーマンスを上げる方法か?と問われると「違う」という結論になります。ウェイトトレーニングを競技パフォーマンスの向上に直結させるには「正しい姿勢、動作の原則、感覚」が必要不可欠になります。


それが、抜けてウェイトトレーニングが効果的か否かを議論するのは意味がありません。

 例えば、体操選手のような盛り上がった腕や肩回りの筋肉は、一見ウェイトトレーニングで鍛えられたような筋肉に見えます。

 

 


 しかし、体操選手は身体の軸を地面に垂直に、かつ身体の中心に合わせることで身体を支えています。


 イメージで言うと石をバランスよく積み上げるようなものです。
 身体の各部位を石を積み重ねるように操作し、軸を合わせるために特化した筋肉の使われ方、付き方をしているのです。決して力ずくで固めて支えているわけではありません。
 よって単純にウェイトトレーニングで筋力を鍛えても競技動作にはつながらないのです。
 
 水泳選手の逆三角形の身体も同じです。しなやかに重心移動を繰り返しながら水の抵抗を利用して泳ぐための身体の使い方に特化した筋肉の付き方をしています。

 


 結果的に、無駄なところに筋肉が付かず、その競技に向いている体つき、筋肉の発達の仕方をするのです。
 一言で言うと「機能的な身体」であり、アスリートの身体が人の目を引くのは「機能美」を我々に見せてくれているからなのでしょう。


 動作の原則に則って「機能的」に鍛えられた筋肉は、共通して柔軟性が非常に高いです。これは、筋肉の使い方を「収縮力」ではなく「張力」で使っているからに他なりません。

 つまり、ウェイトトレーニングも競技の特性と身体の使い方「動作の原則」に基づいて行えばパフォーマンスの向上に効果的なのです。

 

 ウェイトトレーニングが効果がある、ないがはっきりさせられないことに関しては、致し方ない面もあります。この手の論争は、一流選手や元一流選手の間で語られます。一流選手は、天才です。競技に必要な、効率的な姿勢、動作を元々持っています。つまり、始めから当たり前のように無意識的にできるので、意識にのぼりすらしません。当然、抜けてしまいます。

 

 トレーニングの知識はあるけれども感覚を持たないフィジカルトレーナー等の方々の場合、なかなか一流選手の間に入って議論に参加することは難しいでしょう。
 入り込むとすれば、正しい姿勢、動作の原則、感覚が必要不可欠になります。これがあれば、この論争に終止符を打つことができます。


 更に、そこが理解できれば一流アスリートが認識していない動きの根幹部分を補足することができるだけでなく、一流を目指すアスリート、十代の子どもたちに一流、超一流への橋渡しが可能になります。

 もし、ここまで見てきた体幹部の歯車の動き、螺旋の動き、体幹部、四肢の連動性、簡単に言うと「重力を利用した正しい身体の使い方」が理解できれば、どんなトレーニング、練習方法を行っても全てプラスになります。


 このトレーニングは良い、あのトレーニングは悪い、ではなく、トレーニング効果を引き出すのは、方法論ではなくトレーニングを行う身体の使い方次第なのです。
 身体の使い方が良ければ、どんなトレーニング法も効果的なトレーニングになり得るのです。


 ただ、そうは言っても、二次性徴期前のウェイトトレーニングはお勧めしません。骨や筋肉がまだまだ未発達なのが理由です。この時期は関節の可動性や身体の操作性を重視したトレーニングがお勧めです。ウェイトトレーニングは、始めるにしても二次性徴期後半からが良いでしょう。

 

 #1から読んでいただいた方、ありがとうございます。


 ここまでが身体の使い方の基本となります。


 あくまで土台の部分で、様々なスポーツ、競技、日常動作は、この応用になります。しかし、原則はどんな競技、動きでも全く同じです。
 本質は重力を利用して、負荷を受け入れ肩甲骨、胸腰椎移行部、骨盤の連動により体幹部の張力を引き出すことにあります。あとは、腕や脚の位置、向き、動く方向のバリエーションが無数にあるだけです。


 バリエーションが無数と言われると、非常に複雑に感じると思いますが、原則は同じ、要は胸腰椎移行部を使わせれば良いだけ、単純なことなのです。

 この原則を基に、それぞれの競技、スポーツに特化した動きを解釈し反復練習していけば最短距離で技術を向上させることができます。


 例えば、野球のピッチャーであれば、一度ピッチングの動作を、重力を利用した身体の使い方の原則に基づいて作り直して、反復練習によって動きの精度を上げていく。ということになります。

 始めは球のスピードが遅くても、どっかに飛んで行ってしまっても構いません。とにかく一流選手が行っている重力を利用した正しい身体の使い方を反復して投げれば良いわけです。疲労で動作が崩れたら、即終了。


 力や、小手先を使った方が、始めは人よりも上手にできて、早く結果を出すことができるでしょう。しかし、長期で見た場合、力や小手先の投げ方では、すぐに限界が来てしまいます。ケガもしやすくなります。


 これでは一流選手が超えている、ある一線を越えることができません。

 始めは下手でも、正しい動作を地道に習得した子は、ある一定期間を過ぎると急激に上達します。重要視するポイントを間違ってはいけないのです。
 
 身体の使い方の土台が理解できれば、指導者と選手間の共通認識が明確になり、お互い迷うことがなくなります。指導者、選手どちらにとっても大きなメリットとなります。
 
 次回 身体と心のお話。

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